祭りのあと
おっす!おら小倉!
夏だね!今年はお祭りに三回行ってきました!十日にある花火大会に友達と行く予定を少し前から立てていたんだけどどうやら雨みたい!友達に会うことと花火を皆すごい楽しみにしていたのもあって雨天決行なわけないからとっても残念なの!(犬山城の花火大会は本当に来て損は無いぞ!)
その三回行った中の一回、地元のお祭りの帰りに小説のネタになりそうな出来事があったから九割程度加工して短編にしました!今度出す短編集『奇奇怪界』に入ってる一作の前日譚にもなるのでもし時間があれば読んでみて下さい~!あと急ピッチで書いていますが勉強することが多くてあまり進んでません!多分十月以降になりますスミマセン!小説の進捗を文字数に表して晒すアカウントを作った方がいいかもなぁ……。
昨年のお盆の話も後編を一応書いています。プロットばかり思いつくから困ったもんだぜ。
祭りのあと
一歩、一歩と前へ進むに合わせて賑やかな喧騒が遠ざかる。下駄の音はなるべく立てないように気をつけながら真っ直ぐ歩く。
ふと両足のほぼ同じ場所、緒が擦れる部分にジリ、と鋭い痛みが襲った。毎年の事ながら下駄ずれだ。
一度感じてしまうと先程のように自然に歩くのは難しい。私はひとつため息を吐き、信号よりも近い所にあった歩道橋の入口にある少し高めの段差に腰を下ろして休憩することにした。
左手に提げていた巾着袋からスマホを取り出して時間を潰す。たまに液晶から顔を上げて少し遠くにある信号を待つ車の赤い光や一斉に走り出す最初のもたついた速度に合わせて目を流したりしていると、突然視界の真ん中に浴衣を着た幼稚園児くらいの小さな男の子が私の前で仁王立ちになった。
挑戦的な姿勢とは裏腹に女の子のような愛らしい声で男の子は言った。
「もしかして、幽霊の人ですか?」
最初に子供とは分からないな、と思った。素っ頓狂な質問に私は答える気が無かった訳ではないけれど私は何故かにこりと笑っただけで答えた気になった。
私に向かって「どひぇ~~~!!」と叫んだ男の子は次に両手を上げて逃げるのかと思えば、私の頭にずらして着けているおかめのお面を指さしながらよいせ、と隣に座った。
「お兄さんはこの町に住んでるの?」
きらきらとした二つの瞳がこちらを見ている。返事をしなくても話題をあっちこっちに飛ばしながら日常話をつらつら話す口が止まらない様子の男の子に実は私じゃなくておかめのお面に話しているようにも思えてきた。
夏といえばホラー。少し驚かしてやろうか、そう思い口を開くとバタバタと慌ただしい音が聞こえた。音の方向へ振り向くと近くにいても何らおかしくない第三者が男の子が来た方向から走ってきた。男の子よりもっと小さな子供を背負ったお母さんと思われる人だ。
「こら一郎!そんな所で何してるの!」
肩で息をするお母さんは男の子……一郎君の手を引っ張りこちらには目もくれず大股を開いて歩いて行った。
足をもつれさせながら男の子はこちらに振り向き紅葉のようなちっちゃな手を振る。お母さんが見ていないのを確認し私も手を振った。
あの男の子とはまたいつか会う気がする。あの子がもう少し大きくなっていい大人と悪い大人の区別がつくようになったらさっきやり損ねたドッキリを仕掛けるとしよう。
私は立ち上がり、脱いでいた下駄を履くといつの間にか見えなくなっていた親子の背を追うように信号のある方向へと足を進めた。
寂しさで満たされていた心はどこか幸せな気持ちで溢れていた。